保育園にわざと落ちて、育休を延長することってできるのかな?
2025年度から審査が厳格化。落選狙いの申請と判断された場合、育児給付金の支給が受けられなくなるかもしれません。
現在育休中のパパママの中には、様々な理由で育休延長をしたいと考える方もいるかと思います。
例えば、
- 早生まれで1歳4月入園を狙いたい
- 自宅から近い保育園の入園枠がなく、他の保育園に決まると困る
- 次の妊娠を計画中で、仕事復帰せずに連続して育休をとりたい
- 時短復帰で給料ダウン&保育料の出費はアップ。育児給付金よりも収入が減る…
育児休業の制度上、育休を延長するためには不承諾通知書や保留通知書が必要です。
この書類を取得するために、基礎指数を低くしたり第一希望しか記入せずに申請を出したりと、わざと保育園に落ちるケースがありました。(いわゆる落選狙い)
しかし、2025年度の申請からは審査が厳格化!
要件をクリアしないと育児給付金の支給を延長できないこととなりました。
本記事では、保育園にわざと落ちて育休を延長する方法と2025年度から厳格化した制度の注意点をまとめています。
2025年度に改定された新制度についてはこちらをチェック!
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もくじ
保育園にわざと落ちて育休延長はできる?
保育園にわざと落ちて育休を延長する……
と聞いたことはあるけれど、どうゆうこと?
保育園にわざと落ちて不承諾通知書をもらい、育休を延長するということだよ。
ニュースでも一時期話題になった「落選狙いの保活」。
育児休暇を延長したい家庭が、保育園にわざと落ちるように申し込みをすることで、本当に保育園に入りたい人が入れなかったり、役所の手続きが増えてしまったりと問題になりました。
でも本当にそんなことできるの?という疑問に答えていきます。
育休制度は原則1年
育児休暇は「育児休暇は産休のあと、子どもが1歳の誕生日を迎える前日まで」が対象期間です。
例外として、下記の条件を満たす場合のみ1歳6か月または2歳まで延長が可能です。
- 保育園に申請したけど入れない
- 養育予定の親が死亡や病気
- 両親が離婚し別居した
- 新たに妊娠した など
保育園に入れずに、やむなく育休を延長する家庭は多いよね💦
育休延長に必要なのは不承諾通知書
子どもが1歳になるまでに保育園が決まらなかったので、育休を延長したい!
その時の手続きに必要なのが、不承諾通知書や保留通知書。
「保育園に申請したけれど、落ちてしまい入園できませんでした。」という証明書です。
この不承諾証明書をもとに、勤務先が育休延長の申請を行い、半年間の育休延長が認められます。
延長手続きは、1歳の誕生日を迎える2週間前まで!
勤務先には早めの報告が必要だよ◎
申請をしてわざと落ちれば育休延長はできる
ここまで育休延長の流れを説明してきてわかるように、不承諾通知書があれば育休の延長は可能です。
しかし不承諾通知書を入手するためには、必ず保育園の入園申請をしなければいけません。
そのため、わざと保育園に落ちるために工夫をする家庭があるということなんです。
わざと保育園に落ちるための3つの方法
「わざと保育園に落ちる」といっても、具体的に何をするの?
わざと保育園に落ちるために、考えられる3つの例を紹介します。
第一希望に激戦保育園だけ記入する- 復帰後の勤務時間を減らす
申請時に選考順位を繰り下げる
【2024.9追記】2025年度の審査厳格化にともない、①・③を行うと育児給付金の延長が認められない可能性があります。
①第一希望に激戦保育園だけ記入する
保育園の入園申請をする際に、募集人数が少なく人気のある園を第一希望に記入します。
そして第二希望以降は、空欄で出します。
そうすることで、保育園に入れる確率がグッと下がります。
入園可能枠が多数ある場合は、入園が決まる可能性も。
本当に入りたい人がいるので、内定辞退は避けましょうね!
②復帰後の勤務時間を減らす
自治体によっては、勤務時間によって基本指数が異なる場合があります。
8時間勤務よりも6時間勤務のほうが指数が低いのであれば、8時間勤務で復帰予定の家庭に比べて基本指数が下がります。
勤務時間は勤務先との話し合いも必要。
申請をする前に打ち合わせをしておきましょう。
③申請時に選考順位を繰り下げる
自治体によっては、育休延長の意思を申請書に記入することで、基本指数を下げることができます。
- 基本指数を著しく下げるケース
- 希望復帰月までは基本指数を下げるケース
- 決まった期限まで入園希望数を減らせるケース
申請書に記載がなくても、窓口で聞いてみたら対応してもらえた!という例もあるようです。
自治体に一度問い合わせをしてみてもいいかもしれません。
この後は、都内23区で選考順位を繰り下げられる区をまとめているよ。
参考にしてみてね!
選考順位を繰り下げられる東京23区はどこ?
自治体によっては保育園の入園申請時に、選考順位を繰り下げるように申請できる仕組みがあります。
点数が極端に低くなるので、保育園の入園申請を出しても落選しやすくなります。
東京23区の2024年4月の保育園入園の申請書を比較して、選考順位に希望を出せる区と出せない区をまとめてみました。
公開されている申請書類をもとにまとめています。
23区外の方も、どんな文面が書かれているか参考にしてみてくださいね✨
選考順位を繰り下げられるのは16区
申請書に「育休の延長を希望する」等の文面があったり、延長の希望意思を表明できる申立書がある区は以下のとおりです。
区 | 書類 |
---|---|
板橋区 | 育児休業確認票を提出 |
大田区 | 申請書に延長意思の☑ 育児休業延長優先の申出書を提出 |
江東区 | 育児休業延⻑許容届を提出 |
品川区 | 申請書に延長希望の☑ |
渋谷区 | 申請書に育休延長希望の☑ |
墨田区 | 申請書に育休延長希望の☑ 入所保留に関する届出書を提出 |
世田谷区 | 申請書に育休延長希望の☑ |
台東区 | 育児休業に関する確認書を提出 |
千代田区 | 申請書に育休延長希望の☑ |
中央区 | 申請書に育休延長希望の☑ |
豊島区 | 申請書に入園希望の園数を減らす☑ |
中野区 | 調整指数20に関する申立書を提出 |
練馬区 | 復職に関する申立書を提出 |
文京区 | 入所保留通知書を提出 |
港区 | 申請書に育休延長希望の☑ |
想定よりも多くの区が、このシステムを導入していてビックリ!
入園意思がないのであれば、はじめから除外したほうが無駄がないですもんね。
選考順位に関して記載がないのは7区
申請書に選考順位に関する希望を記載する欄がなく、申立書の提出もない区は以下のとおりです。
申請書には記載がなかったので、お住いの区が該当している場合は自治体に確認をしてみてくださいね。
落選狙いの保育園申請に対する国の対応
落選狙いの保育園申請者が増えてきたため、本当に入りたい園に入園できない場合や行政の手続きが煩雑化するなどの弊害も起きています。
これに対応するために、国では対策を講じています。
【2019年】申請時に育休延長希望の意思を表明できるように
落選狙いの申請で本来入れる人が入れない事例が多く見受けられることから、
平成31年2月に厚労省から利用調整に対する工夫として、下記のような例をあげています。
① 利用調整に際して、申込者の内面の意思を外形的に確認するため、利用申込書に、「直
育児休業・給付の適正な運用・支給及び公平な利用調整の実現等に向けた
ちに復職希望」「希望する保育所等に入所できない場合は、育児休業の延長も許容でき
る」との選択肢を設ける。
② 「希望する保育所等に入所できない場合は、育児休業の延長も許容できる」について
選択した者については、利用調整に当たっての調整指数を減点する。
③ その結果、当該項目を選択しなかった者については、優先的に取り扱われることで、
希望する園に入れる可能性が高まることとなる。
運用上の工夫等について
この結果として、育休を延長する意思を確認する文言が申請書に記載されるようになったんだね。
【2023年11月】落選狙いを防止するため審査を厳しく
11月27日の日経新聞に、「厚労省は落選狙いを抑止するために審査を厳しくする」といった記事が出ています。
▶育休給付の延長へ「落選狙い」の保育所申請横行 厚労省が審査厳格化へ(産経新聞)
育児給付金の期間を延長しようと、落選狙いで保育園に申請する親が増えている。
そのため復帰する意思を確認するための確認書を提出するようになる……のだとか。
すでに入園申請を出している2024年4月入園の家庭には影響はないものの、今後どのように変わっていくのかは経過を追う必要がありそうです。
これによって、選考順位の繰り下げを申請書に記載している自治体はどうなるのでしょうか?
育休を延長したい理由は、給付金をたくさんもらおうとする理由だけじゃないと思うんだけど……
NEW!【2024年9月追記】2025年4月から延長認定が厳格化へ
2025年度の入園申請から「速やかな職場復帰を図るために保育園等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長(ハローワーク)が認める場合に限る」という要件が加わりました。
今までは申請内容に関わらず保育園に落ちたら育児給付金の延長OK!だったのが、今後は申請内容を確認してから給付延長OKかを判断するようになるよ。
育児給付金の支給対象期間延長要件として、下記すべてを満たす必要があります。
- あらかじめ市区町村に対して保育利用の申し込みを行っていること
- 速やかな職場復帰のために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認めること
- 子が1歳に達する日の翌日時点で保育所等の利用ができる見込みがないこと
注目すべきは②!
- 合理的な理由なく自宅から片道30分以上かかる施設のみ申請した場合
- 市区町村に対する保育利用の申し込みのあたり、入所保留となることを希望する旨の意思表示をした場合
この場合は、②の延長要件を満たさないと判断されます。
ということは、「選考順位を繰り下げる」にチェックをすると、育児給付金の認定が下りない可能性大!!
そして以前までは不承諾通知書があれば育休延長申請ができましたが、今後は以下の書類が必要になります。
- 不承諾通知書
- 保育園の申し込み書類のコピー NEW!
- 申込者本人が記載する申告書(※延長事由認定申告書) NEW!
もっと詳しく知りたい方は、厚生労働省のサイトを確認してくださいね。
育休延長と育児給付金の受給は別問題かと思うのですが…。ひとまず来年4月の保活結果を待つしかありません。
まとめ
本記事では、わざと保育園に落ちて育休延長することはできるのか?方法や心配点などを解説しました。
- 不承諾通知書(保留通知書)があれば、育休延長は可能。
- 保育園にわざと落ちる方法は、
第一希望のみ記入・基礎指数を下げる・申請時に選定順位を下げる。 - 育休延長希望を表明できる都内23区は16区ある。
- 自治体によって育休延長希望の意思を表明できるが、2025年以降は延長すること自体厳しくなるかも。
2025年度の厳格化により、育休延長(伴い育児給付金の延長)をする場合はハローワークの適否判断が必要になりました。
今後は落選狙いを防止するために厳しい審査を行うようですが、この選考順位を下げる仕組みがどのように運営されていくのかが気になります。
なぜ落選狙いの申請が増えているのか?
この原因を追究して、育休をとりやすい制度になっていくといいですよね。
本記事の他にも、連続育休で4年間育児休暇を取得したママが、経験談をまとめています。よければ参考にしてみてくださいね♪